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SHORTで、俺。  作者: SIN
高校 2年

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楽器購入

 ゲームセンター前のベンチに、キラがキターを持ってやってきた。

 キラだけではなく、他にもギターを持った人がいて、なにやらベンチでギター講座が始まった。

 なんでも、本格的にバンド活動を再開させたかったキラは、現バンドマンであるゲームセンター仲間にギターを教えてくれるように頼んだのだという。

 その様子を眺めていると、ギターを抱えたままのキラがベンチに座っていた俺とシマ君さんの所にやってきて、

 「今何人かで練習してて、バンド組もうって事になってんねんけど、ベースおらんねん」

 と、シマ君さんを見ながら言った。

 だからてっきりシマ君さんにベース担当になって欲しいのだと思ったのだが、

 「な、良いかな?」

 と、キラは俺の腕を掴んだ。

 「ん?」

 いまいち状況が分からない。

 「前にもバンドやってて、そん時木場がベースやってん。なっ」

 あんな形だけで一切の練習をしてなかったバンドのベース担当といわれた所で、腕前なんてのはお察しだ。

 それに、ベースだって結局は買わず仕舞いで、キユウが持っていた半分玩具のギターの1番ベースっぽい音色のモードで遊んでいただけだし、弦も柔らかくて押しやすいものだった。

 それでもキラの目から見れば俺はべーシストだったのか、その後も熱心にベース担当になって欲しいと言っていた。何故かシマ君さんに。

 「好きにしぃや」

 少々突き放したように言うから、少々イラッとした俺はその場でキラに返事をした。

 「えぇで」

 「ホンマ?ベースの練習も見てくれるって言うてくれてるから、次ベース持って来いな!」

 嬉しそうに手を振りながら練習に戻るキラに手を振り返しながら、早速後悔する。

 ベース、持ってないわ。

 キユウに玩具のギターを借りたとしても、本格的なバンドでベースの練習も見てくれると言うのだからそれでは駄目だ。だったら他にベースを持ってる知り合いでもいればいいのだが、俺の交友なんてのはゲームセンター内にしか存在しない。

 ゲームセンターの中にベースを持っている人間がいるなら、キラが俺に声をかけてくる事はなかっただろう。

 こうして日曜日、俺は楽器屋に行ったのだった。

 初心者用の楽器がアンプとケース付で2万円!との広告が出ていたので、運命だと感じてその場で購入した。

 しかし、次に持って来いとは言われたが、具体的にそれがいつなのかが分からない。

 練習が始まった時に取りに帰れば良いか。

 1日経ち、2日経ち、1週間が経ち、1ヶ月が経ち。

 結局ベース講座が開かれる事は1度もなかったのでしたとさ。

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