花火で火傷
ベンチに座っていると、何人かやって来て花火に誘われた。
開催地はベンチ周辺だと言うのだから、通行人にとっては非常に迷惑だっただろう。
流石に打ち上げ花火はしなかったが、手持ち花火などで騒ぐだけ騒いだ。
花火の後は、片付け。
遊び終えた花火を1箇所に集め、焚き火。
パチパチとゴミやら雑草やら枝が燃える炎を数人で囲んで見つめていた時。
パァーン!
焚き火の中で何かが弾けた。そして飛び散る燃えたゴミ。
そのゴミの1つが俺の方に飛んで来て、袖の中に入ってきた。幸いな事に袖でゴミが止まってくれたので二の腕が少々燃えただけで済んだのだが、それでも酷い火傷に変わりなく、ビリビリと痛んだ。
「アハハハ!木場燃えた!」
「ホンマやー」
そう言って周りにいる仲間が笑うから、俺は水道に走らず、帰りもせずその場に座りなおした。
「ちょっと燃えたな!」
と、笑いながら。
少しでも痛いと言えば、悪乗りが過ぎる連中なので火傷の箇所をグリグリと触られていただろうし、もしかしたら他の場所を燃やされていた可能性もある。
そしてなにより恥ずかしい!
痛みを我慢しながら無駄話に付き合い、ベンチに座り、自動販売機で買ったジュースの缶をコッソリと火傷の部分に当てた。
それが駄目だった。
1度冷やしてしまった火傷は、冷やしていないとビリビリと激しく痛み始めたのだ。
悟られたらおしまいだ。
痛くない、痛くない。
眠くなったと理由をつけて帰ろうかな?でも火傷した直後だと痛むとバレるか?ゲーセンが閉店するまで耐えれば自然か?
腕が徐々にマヒし始めて、痛いのが当たり前に感じてきた頃になってゲーセンは閉店し、中にいたゲーマー達が外に出てきて帰っていく。中には自動販売機でジュースを買ってベンチに来る人も。
「ここで花火してたん?ホンマに迷惑行為やわー次からは公園行きや」
そう言って笑いながら軽く俺達を怒るシマ君さんに、何人かが俺が火傷した事を楽しそうに報告した。
なので、大丈夫!と、燃えた袖の上から火傷部分をポンポンと叩いて見せておいた。




