大騒ぎ
まだ夜は冷え込むという時期、ゲームセンターに行くなり、花見をしよう。と、伝言が回ってきた。
言い出したのは俺とは接点もないほど遠いグループの人で、
「同じゲーセンに通ってる事やし、花見位は皆でしようや」
との事らしい。
そして花見当日。
待ち合わせのゲームセンター前のベンチには、30人ばかしのゲームセンター仲間が集まっていた。
車の人、バイクの人、自転車の人、徒歩の人。
花見会場は結構離れた場所にあった大きな公園で、池とか橋とかがあって、桜の木が1本1本見事だった。
公園の側にあるコンビニに入れば、成人者達がコソコソと俺達未成年者にアルコールはどうする?と耳打ちしてくる。
メグもカズマもキラも成人者達からチューハイを買ってもらっていたが、俺はストレートティーとポテチを買った。
購入した物を手に桜の木の下に行ってみれば、物凄い度数のお酒を一気に飲んだらしい成人者達はもう既に出来上がってしまっていて、酷い暴れようを見せた。
騒ぎ散らかしていても誰も文句を言って来なかったのは、単純に俺達が30人という大人数だったからだろう……多少人相の悪い人もいたせいなのか、そのうち公園内はガランとしてしまった。
「おぉーい木場」
顔を真っ赤にして酔ってしまっている同級生と、完全に酔い潰れてベンチに横になっている同級生。そして誰の物かも分からない自転車を大笑いしながら池に投げ捨てる成人者達。
こんな騒ぎ散らかして、酷く迷惑な集団だ。と、頭では分かっているのに、経験した事もない空気感にワクワクが止まらない。
俺は1口もお酒を飲んでいないので、当然素面だ。
「メグゥー。お前学校来いやぁー」
「うっさいわーアホォー」
俺は、素面である。
「アホはお前やんかーあははは」
「アホーアホーあはははは」
場酔い、という奴だったのだろうか。




