表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
SHORTで、俺。  作者: SIN
高校 1年

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

387/485

セールス

 人見知りが災いし、ハッキリとセールスを断れなかった時期が自分にもあった。

 とりあえず話を聞いてから「いりません」と言えば良い。とか思っていたので、セールス1件につき1時間とか2時間とか延々と話を聞き続けていたのだ。

 更には、最終的には「いらない」と言えているのだから、間違っていないと。そう思っていた。

 ある日の午後、バイトもなくノンビリとしている所へ1件の電話が入った。

 「もしもし」

 と出てみれば相手は女性からで、極々ありふれた日常会話を繰り広げてくる。

 一切セールスの影もチラつかせない話術に、知り合いだったっけ?と錯覚を起こしてしまうほどだ。

 誕生日を当てるから。と簡単な計算をさせられたり、変な性格判断をしてきたり。本格的な雑談を2時間ばかりした後、女性はようやく本題を出してきた。

 「もっと話したいんやけど、固定電話では家族に迷惑やろ?携帯は持たへんの?」

 携帯販売だと明かした後も女性は世間話を織り交ぜながら「もっと話したいから」を強調してくる。

 本当に?

 そんな訳がないのに、変な考えが頭をよぎったのを切欠にして、携帯を持ったら……などという浮ついた想像が広がり、終には「携帯を買うならこの人から買おう」とまで。

 「まぁ……携帯は、欲しい、かな」

 ついポロッとそんな事を漏らしてしまってからの女性の対応は素早く、

 「じゃあ日曜日に家に伺いますねー」

 と、日時を告げてさっさと電話を切ってしまったのだ。

 急速に冷静になる脳内。

 訪問販売員を、家に招いてしまった。それ所か、女性が指定した時間に俺はバイト中で家にはいない。

 やってしまった……。

 仕方がないので親父が素面の時を狙って、日曜日に携帯の訪問販売が来るけど断って欲しい。と、頼んだ。

 俺の対応が悪かったせいで面倒な事になってしまったのだから、文句の1つや2つは覚悟していたものの、ブチ切れられる事は避けたかったので素面の親父に頼んだ訳なのだが、

 「お前はホンマにええ事せんなぁ!」

 とか、

 「こんな時だけ頼ってくるな!」

 とか、

 「面倒な事を押し付けるな!」

 と、結局はキレられてしまった。

 それから数日間、酒を飲む度に文句を言われ続けてしまったので、俺は心に決めた。

 セールスでは一切何も買わないと。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ