コンポ
バイトをしてお金をためて、実家を出るつもりだった。
しかし一緒に暮らそうと言っていたカズマがその約束を破棄したので現実的ではなくなってしまった。
それでも貯金だけはしていたのだが、そうするとまたいつ「貸して」と言われるか分からない。
だったら自分の欲しいものを買ってしまおう。
こうして俺は親父と共にコンポを買いに家電量販店に行った。
1人で行かなかった理由は、コンポを買った後自転車で家まで持って帰るのは流石に骨が折れるので、親父に車を出してもらうため。
家電量販店になった理由は、親父がそこの会員だったから。
さまざまなコンポを見て、音の聞き比べまでさせてもらって選んだのは10万超えの高級品。
それをボンと一括払いした時のなんとも言えないセレブ感。
間違いなく自分のバイト代で購入したコンポ。
カードにポントを溜めるため、レジに立ったのは親父ではあるが、お金は俺がトレーに乗せた。
しかし何年も経った今、親父は、
「俺が買ってやった」
と言い張っている。




