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SHORTで、俺。  作者: SIN
高校 1年

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後悔

 終電に間に合わなかった1人のゲーマーが、閉店したゲームセンター前のベンチに座っていた。

 不運な事にそれはメグだったので無視は出来ず、2人してベンチに座りながら答えも出ないのに“どうしよう”なんて言い合っていた。

 人を招きいれたら駄目な俺の家に泊めるという訳にもいかず、メグもそれば気を使うから嫌だ。と明言した。

 こうして2人で考えて出した答えは、始発まで時間を潰そう。

 だった。

 24時間営業中のファストフード店で夜食を食べ、快適な店内で2時間は過ごしたと思う。すると1人のゲーマーが店に入ってきた。

 「あ、沢木(仮)さん」

 メグは声をあげて入ってきた人に手を振った。

 俺とメグはゲームセンターでは別々に過ごしている事が多かったので、俺は沢木さんとはこの時が初対面だった。

 「終電いってもたで?」

 沢木さんはニコリと爽やかに笑いながら言い、メグが飲んでいたジュースをなんの断りもなく1口飲んだ。

 「終電まで時間潰してるんです」

 そう説明しながらメグは手元に置かれたジュースをさり気無くトレーに乗せた。どうやら間接キスお断りのようだ。

 「今日車で来てるし、家の近くまで送ろか?」

 これはもしかすると車に乗ったら最後……のパターンのヤツか?と他人事の俺は、メグが遠回しに断っている様子を眺めていたのだが、沢木さんは人の良い笑顔のまま、

 「遠慮せんでえぇよぉ~」

 と譲らない。

 ここまで粘られると、笑顔であろうがなんだろうが不気味で怖かったので、俺は祖母と親父に怒られる覚悟でメグを1日泊める事に決めたのだが、それを提案するよりも先に小さく両手を合わせてきたメグは、

 「木場も一緒なら、送ってもらいます」

 と、少々可笑しな事を言い出した。

 「木場?」

 ここで沢木さんは始めて俺を確認したような声をあげたのだが、これよりも前に何度も人を眺めておきながら、変な反応だなぁ……と、ここでもっと警戒しておけば良かった。

 結局、沢木さんと結構な勢いで怯えていたメグを一緒にさせる訳にはいかず、乗り物酔いを気にしつつも一緒に車に乗る事になった。 

 車の後部座席に2人並んで座り、出来るだけ窓の外を眺めながら乗り物酔いと戦う。

 夜道は空いていて、1時間程でメグ宅の最寄り駅に到着した。沢木さんはまたしつこく家まで送ると言うが、メグは丁重に断るとポケットから携帯を出し、

 「親父に迎えに来てもらうんでー」

 と。

 お父さんを出されると退散するしか出来なくなったらしい沢木さんは、ニコリと爽やかな笑顔で車の中からメグに手を振った。

 「木場君の家は?」

 そう尋ねられて、車に戻らなければ良かった。

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