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SHORTで、俺。  作者: SIN
高校 1年

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花火大会の日

 夏休み中の事。

 その日は大きな花火大会の日で、俺はバイトが休みだった。

 折角の休みだし、大きな花火大会なので行く事にしたのだが、メグはバイトがあったのでゲームセンターにいた仲間の1人、マコトを誘った。

 電車に乗り、人の流れにも乗って、開催地までただ移動する。

 屋台もあるにはあったが、人が多過ぎて近付く事も出来ない。

 そんな中、マコトの携帯がなった。

 「はいはーい、もしもーし」

 とてもご陽気に携帯に出たマコトだが、何故だか一気に黙り込み、チラチラと俺を見てきた後、黙って携帯を手渡してきた。

 「え?あ、もしもし?」

 誰なのかも分からないまま出てみれば、それはメグからで、

 「人がバイト中に花火大会行ってんの?裏切り者!アホォ!」

 と、完全に拗ねていた。

 「えぇ~?一緒に行こうとか約束してへんかったし、裏切ってはないやん」

 「もー知らんし!アホめ!」

 彼女か!

 「じゃあ来年。来年一緒に行こうや」

 「うるさいわ!アホめ!帰って来いや」

 子供か!

 「そんなん言われても、来たばっかりやしー……」

 途中で切られた。

 「なんなんコイツ……」

 マコトは携帯をポケットに仕舞いながら文句を言うが、最終的な事は俺に任せたのだろう、歩き出さずにジッと見てくる。

 花火大会の開催地最寄り駅周辺で、まだ1回も花火所か花火の音も聞こえてこないうちに、屋台で何も食べる事もないままの、帰宅。

 「ごめん、俺帰るわ。今度なんか奢るから」

 「じゃあドーナツな!それと、帰りの電車代」

 こうして2人でゲームセンターに戻ってくると、まさか本当に戻ってくるとは思っていなかったのだろう、メグは罰が悪そうにベンチからゲームセンター内へと移動した。

 「なんなんアイツ!」

 「ごめんな。ドーナツやろ?行こっか」

 ゲームセンターから徒歩2分ほどの場所にあるドーナツショップに向かい、店内で食べながらブチブチと不満を口にするマコトは、3個のドーナツを平らげるとゲームセンターには寄らずにそのまま帰っていった。

 その姿を少し見送りつつ、メグの事を考える。

 一緒に行こうと約束をしていたのならまだしも、行きたいとの話題にも上がらなかったくせに、行ったら裏切り者扱いは可笑しい。

 強い口調で帰って来いと命令される覚えだってない。

 それなのに戻ってきてみれば、なんの言葉もなくゲームセンターの中。

 憤りはあるし、腑に落ちない部分も多い。けど、拗ねているメグを放って帰った所でスッキリはしない。

 俺はお持ち帰りでドーナツを2つ購入してゲームセンターに戻り、ベンチに座っていたメグに向かって直進。

 途中で俺に気がついたメグは俯いたがベンチに座ったままで、今度は逃げなかった。

 ドカリと隣に座り、

 「はい、お土産」

 ドーナツの入った箱を渡すと、受け取ったメグがポソポソと心境を話してくれた。

 バイト中に花火大会の事を知った事と、バイトが終わったら一緒に行こうとしていた事。

 それなのに俺がマコトだけを誘って花火大会に行ったと知って腹が立った事と、本当に帰って来るとは思わなかった事。そして最後に、マコトに謝りたい。と宣言し、その場で電話して謝っていた。

 しかし、2人は仲直りには至らなかったらしい。

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