モヤモヤ
中学の頃に同級生だった奴が、高校に入ってから話しかけてきた。
特に仲良くもなかった上に、別の高校に通っているソイツの名前は谷口(仮)
これが異性ならば恋への発展があるのかも?とか思えるのだろうが、残念な事に同性で、しかも恋の相談まで持ちかけられてしまった。
その理由は、意中の相手と俺の家が近いから。
如何したらお近付きになれるのだろう?
とか相談してきた癖、俺の提案には全て首を振るという面倒臭さを発揮し、結局は、
「1回話しかけてみる!」
との自己解決して帰っていった。
何しに来たんだ?と不思議に思った1ヵ月後、谷口が再びやって来て、
「付き合ってるねん!」
と、報告にやって来た。
フーンと簡単な俺の返事すら聞かずに谷口は怒涛の如く喋り続ける。
相談しに来た数日後には交際がスタートした事や、なにやら高価なプレゼントをした事。しかし携帯の番号は知らない事、そして高校生には大金である筈の10万円を貸してと頼まれた事と、恋人のためだからと15万出そうとしている事。
谷口は全力で恋人自慢をしているのだろうが、聞いている俺はモヤモヤが止まらない。
「お金は、携帯番号教えてもらってから考えたら?」
率直な意見を述べると、俺の意見に対して初めて頷いた谷口は帰って行き、数日後にまたやって来た。
「……恋人と、どう?」
黙っている谷口に声をかけると、
「あんな奴、もーどーでもえぇし!」
急に怒鳴った。
どうやら付き合っていると思っていたのは谷口だけで、そいつは貰えるものは貰っていただけの事だったらしい。
だったら10万貸せってのは可笑しい気もするが、谷口に貸す意思はなさそうだしわざわざ言う必要も……
「で、俺と付き合う位なら木場と付き合った方がマシとか言うねんで!ムカ付くわ!」
俺は谷口にもモヤモヤしてしまった。




