避妊具
線路沿いの道には自動販売機があった。
俺を含めたゲームセンターの仲間4人で遊びに行った帰りの事、その自動販売機を使用してみよう。と言う事になった。
問題は、誰が行くかだ。
「お前買って来いや」
「絶対嫌や、お前行けや」
「何でやねん!」
ギャアギャア言いながら誰も自動販売機に近付かない。そして、
「あ、人来た!」
人がやって来ると大人しく4人とも俯く。
人がいなくなると顔を見合わせ、
「お前行けや」
また小声で始まる。
これではラチがあかないと、夜になって暗くなってから買いに来よう。という事になった。
暗くなるまで適当に時間を潰し、千円を握り締めて問題の自動販売機に向かう。
4人で自動販売機の前に立ち、千円を入れようとするが、ない。
「これ、千円入れる所ない!」
「え!?どっかで崩さな」
まるで逃げ出すように走ってジュースの自動販売機で千円を崩し、再び例の自動販売機の前へ。
カシャン、カシャン。
お金を入れる音が異様に響く。
「誰も来てへん?」
「大丈夫、今大丈夫」
カシャン、カシャン、カシャン。
よし、お金は入った。後はボタンを押すだけ!
ポチ。
ゴトン!
「めっちゃ音したぁ!」
「誰も来てへん?誰も来てへん?」
「大丈夫、誰もおらん」
「行こ行こ!」
商品を掴み、走って自動販売機の前から立ち去り人の気配のない場所で商品を開ける。
「おぉ……」
4人もいるというのに、感想がその一言しか出てこない。そして少ししてからやっと、
「何か凄いな」
と、1人がペリッと1つ切り離し、ペリッと中から薄いゴム製品を取り出した。
「どんな感じ?」
「なんか、濡れてる」
「濡れてんの!?」
と、別の1人が手に取る。
「どんな感じ?」
「……濡れてる……フッ、フフッ」
感想一緒か!
「フフッ、アハハハ」
「アハハハハ」
こうして一通り笑い合った後、残りのソレはその時唯一彼女がいた者へと贈呈されたのでした。




