酒の付き合い
この頃には既にお酒を嗜んでいた俺が言えた立場ではないのだが、俺は酔っ払いが嫌いだ。
酔った親父がキス魔と化していたのを見て、被害にもあってきた幼少期。
一緒に飲んでいる人から酔った勢いで理不尽な事を言われたり、筋の通っていない事を言われたり。
年上の人と飲みに行った時などは大体強めにいじられる。
大阪人だからといって、全員イジられるのが好きという訳ではないし、お酒を飲んだからといって陽気になる訳でもない。
そもそも酔わない俺ではお酒を飲んでいても、ソフトドリンクを飲んでいても同じだ。ただ、周りのテンションに合わせる事は出来る。
しかし、こんな事位で酔っ払い全体を毛嫌いしている訳ではない。
俺の知る限りの酒豪達は、揃いも揃って「お酒は最大のコミュニケーション」と信じて疑わない。
交流を深める為には飲みに行く。
酒は飲んで吐いてを繰り返して強くなる。
酒に弱いなんて人生を損している。
と、まぁこんな感じで、更には酔ってダウンしてしまった人間の介抱を全くしない。
自分が無理矢理飲ませてダウンした人間なのに、だ。
そんな被害にあったのは俺ではなくてメグ。
メグは、お酒は好きではあったのだが強くはなく、アルコール度数3%程度しかない缶チューハイ2本ほどで出来上がってしまう程弱い。
付き合いと称して飲みに連れていかれた俺達は、先も言ったように「飲んで吐いてを繰り返せば強くなる」を実行させられたのだ。
トイレで完全にダウンしてしまったメグを介抱する訳でもなく、カラオケで盛り上がっていた酔っ払い達。
介抱する気もないくせに、酒に弱い人間に対して酒を勧める行為が付き合い?コミュニケーション?いい加減にして欲しい。
なんて直接言える筈もないチキンな俺は、トイレから動けなくなったメグに水を届ける事しか出来なかった。




