郊外学習 2日目
校外学習2日目のお昼は、川での飯盒炊爨だった。
川へ移動し、用意されていた道具や具材を配られ、
「カレーを作れ」
との指示だけでカレー作りが始まった。メニューの縛りはあるとは言え、物凄い自由度だ。
そうなってしまうとナチュラルなボッチはただ無言で作業を進め、全ての作業を一任させられるのが決まりのパターンではある。しかし、俺の班では違った。
2人の女子が仕切ってカレー作りを始めたので、具材を切るだけで自由になったのだ。
出来上がるまでの時間、どうやって時間を潰せば良いのだろう?と、途方にくれながら上流に向かって歩いていると、何人かの女子が固まって喋っているのが見えた。
その女子達の話題は、1人で作業をこなしている女子の事。
飯盒炊爨、メニューは全班例外なくカレーなので、ボッチの子が作っているのも当然カレー。
カレールーの箱を見ると、カレーの作り方が書いてある。そこには具を炒める肯定もしっかりと書かれている。しかし、ボッチの子は炒める肯定を省き、切った具を全て鍋に入れ、水を張り、湯で始めたと言うのだ。
「うわ~最悪やん」
「私らのカレー分けてあげるわ」
と、女子達は食べてもいないのに“不味い”と決め付け、更に文句を続ける。そのボッチの子が作業をしているスグ後ろで。
暗い表情でアク取りをしているボッチの子は、なかなか具に火が通らない事に焦っているようにも見えた。
だけど、俺には良く分からない。
何故なら、木場家のカレーも炒める肯定を省略していたから。
俺はボッチだ。やる気のある女子がいなければ、この子と同じようにカレーを作り、もしかしたら同じように文句を言われていたかも知れない。
どうしてだろうか、俺はその子の横に座り込んだ。
「俺も、炒めない派」
声をかけるとこっちを向いた子は、ゆっくりと鍋に蓋をして、
「やんな。煮込むんやから一緒やんな!」
と、笑ってくれた。




