王様ゲーム
何度目かの王様ゲームブームは、高校生時代にもやってきた。
これまでと違うのは傍観者という立場から、当事者グループにいるという所。
俺が当事者になれる場なんてのは、駅前のゲームセンターしかない。
ゲームセンターに来ていたのは全員合わせると50人近くはいただろうが、それだけの人数がいればグループ分けというものが自然とされる。
かなり遠いグループには高架下でサンドバックを持ち込んで勝手に「我流道場」を開いている肉体派がいたり、満月の夜中に集まって儀式めいた事をする魔術派がいたり、ミリタリーな全身コーディネートで週末になるとサバイバルゲームをする射撃派がいたり。
どこの異世界だ?
肉体派、魔術派、射撃派の面々は、ゲームセンターで待ち合わせをしてメンバーが揃ったら何処かへ行ってしまう。
肉体派が向かうのは高架下なのだが、他のグループが何処に行っていたのかは分からない。
まぁ、異世界ではない。
そんな集団の中、俺はゲームセンターの外に設置されたベンチ周囲にたむろしているだけ、というグループにいた。
そんな刺激に飢えた連中が、夜にゲームセンター前で王様ゲームをする訳だ。
一体どんな方法で王様を決めたのか、くじなんてものは使わず、己の拳のみ。
高らかと拳を突き出し、全員で声を出す。
「じゃ~んけ~んホイ!」




