特に興味はなかった。
始めはキユウの付き添いで行ったゲームセンター。
何度かゲームセンター前のベンチで喋ったが、シマ君さんとの事があって距離をあけていたゲームセンターに、今度はカズマに誘われて行く事になった。
凡そ2年の時が開いたせいなのか、ゲームセンターにいる顔ぶれはかなり変わっていて、俺を知る人もいなかった。
最初に仲良くなったのはイッちゃんという高校3年の男。
イッちゃんには彼女がいて、いつも2人一緒だった。
次に仲良くなったのはシェリーさんという大学生。
タロットや姓名占いをしている人で、日曜日になると占いの館的な所で本当に占い師として働くほどの腕の持ち主だった。
イッちゃんとシェリーさん、俺とカズマの4人でゲームセンターの外にあるベンチの所で雑談して、イッちゃんの彼女の門限が来る頃に解散する。それが普通になっていた。
しかし、そんな平和な時間は長続きせず、イッちゃんと彼女が別れてしまった。
その原因は色々と噂され、俄かには信じ難い内容ばかり。
気になるけど、聞いてはいけない。そう思いながらベンチに座る。そこには既にカズマとシェリーさんがいて、少しばかり3人で他愛ない話をした。
「よっす」
前までなら彼女さんと2人で来ていたイッちゃんが1人でベンチに歩いてきた。
「よぉ、色々聞いてるでぇ~、大変やったみたいやなぁ?」
ズバッとシェリーさんが挨拶代わりに気まずい話題を振り、流石のイッちゃんも苦笑いを浮かべた。
「まぁ、そこそこ」
「そこそこ、ねぇ……で、なにがあったん?」
そんなズバズバと聞いても良いのだろうか?
止めた方が良いんじゃないだろうか?
オロオロしている俺とカズマにシェリーさんはあろう事か「知りたいよな?」と同意を求めてきた。
「あー……まぁ、はい……」
カズマは俯きながらそう答える。
この場にいる最年長のシェリーさんが「知りたいよな?」と言ってるんだから、最年少の俺達は同意する外ないのかも知れない。
「はい……」
同意し、イッちゃんの様子を見ようとして眼が合った。その瞬間、
「なにが知りたいんじゃ!」
イッちゃんは持っていたライターを大きく振りかぶり、力いっぱい投げてきた。
思いっきり俺の頭に当たって地面に落ちるたライター。それを拾い上げたイッちゃんは、再び俺だけを睨んだ。
何故俺だけ?との疑問は頭に浮かんでは来ず、ただただ恐ろしくなった俺は素早くその場から立ち去り、それ以降イッちゃんとシェリーさんとは疎遠になった。




