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SHORTで、俺。  作者: SIN
高校 1年

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嘘を2回

 高校に入ってまず始めにした事は、バイト探しだった。

 クラブに所属するつもりもなければ、放課後を友達と過ごすという事も望んでいなかった。それに家にいたくなかったので、だったらバイトで時間を潰そうと考えたのだ。

 特に欲しい物があった訳ではないし、自分で授業料を払わなければならないという事もなかったので給料はそのまま全額貯金に回る予定だったのだが、それを覆す意見がカズマから上がった。

 「一緒に住まへん?」

 俺が家に帰りたくない理由を知っていたカズマは、だったら家を出れば良いと言い、金銭面も考慮した結果、家賃も光熱費も折半で2人暮らししようと言ってくれたのだ。

 そして20万ずつ溜まったら部屋探しをしようと約束をした。

 喫茶店で働き始め、目標の金額まで後少しという頃になってもカズマのバイトは決まらない。それ所か長年思い続けた意中の相手、キユウがキラと別れたらしいとの情報にバイト探し所ではなくなってしまったのだ。

 そんな頃、親父にこう言われた。

 「悪いんやけど、持ち金全部お母さんに貸してやってくれへんか?」

 意味が、分からない。

 この貯金は俺がここを出て行くための金であって、既に出て行った人間に使うためのものじゃない。

 カズマは俺との約束を忘れたが、それでも俺は1人で部屋を借りるつもりでいた。だから嘘を付いた。

 「友達と遊びに行って、全額使った」

 親父は「そうか」と言った後電話をした。その相手は母。

 「なんかな、友達と全部使ったんやて」

 そうか、俺の情報は親父から母に流れていたのか。

 この元夫婦は、2人して俺の金をアテにしたのか?

 不意に手渡される携帯。

 「もしもし」

 出ると母は凄い剣幕で怒鳴っていた。

 遊びに行って全部使うなとか、その友達に騙されてるとか、色々言われた。聞く限りは俺が変な友達に金を脅し取られているのではないか?と心配している親のようだが、本音が透けて見えている。

 借りられると思っていた金がなくなって、ただ機嫌が悪いだけだ。それで俺はまた1つ嘘を付いた。

 「貯金と言っても数万円、水族館に行って食事をしただけでなくなりましたよ」

 と。

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