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SHORTで、俺。  作者: SIN
高校 1年

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友達?

 高校の入学式に俺は出席していない。

 正確には出席出来なかった。

 理由は物凄く簡単な事で、病欠。しかも単なる風邪ではなかったらしく、入学式所か、そこから数日間寝込んでいた。

 こうして色々と出遅れた初登校は、自分の教室を見つける所から始まる。

 1年の色のスリッパを履いている生徒の後を着けて1年の校舎を特定し、後は教室を順に入って教卓に貼られている席順の名前を確認して回る。

 中々“木場”を見つけられず、もしかしたら受かっていなかったのだろうか?なんて可笑しな心配をしながら。

 こうしてやっと自分の教室と自分の席を見つけて座ってみれば、周囲は既にグループ分けが完了している様子で、皆遠巻きに俺を見ていた。

 入学から凡そ1週間も学校に来なかった生徒なんて、全うな人間ではないと思われていても不思議ではない。

 友達を作るために学校に通う訳ではないのだからなんと思われようとも構わないし、何かあった時はカズマがいるのだからどうだって良い。

 そう割り切ってみた俺の他にもう1人、割り切っていた生徒がいた。それは高校生活で唯一友達と呼べるまでになったメグだった。

 メグは朝のHR前だというのに机に伏して寝たフリをしていた。

 何故寝たフリだと分かったのかと言うと、近付くとパッと顔が上がったから。

 何故近付いたのかと言うと、メグの席が出入り口に近い場所にあったから。

 俺はただHRが始まる前にトイレに行こうとしただけだったのだが、顔を上げたメグが物凄く凝視してくるものだから思わず立ち止まってしまった。

 「……」

 「……」

 気まずい時間が少し続く。

 「……なに?」

 怪訝そうというよりも、不思議そうに言われてしまったので、俺は取り敢えず、

 「おはよ」

 とだけ声をかけてトイレに向かった。

 スッキリして教室に戻ると、またパッと顔を上げたメグは、俺の顔を確認するなり、

 「おはよ」

 と返してくれて、その後はまた寝たフリを始めたのだった。

 朝の挨拶をするだけの関係が1ヶ月は続いただろうか、そんなある時、1人で弁当を食べている俺の所に、弁当箱を持ったメグがやって来て一緒に食べるようになった。

 会話はない。

 何故ならメグも食事中は喋らない派だったから。

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