ゆったりサイズ
高校に受かってしばらく後に、学校案内かなにかの説明会が行われた。
校長の話を聞いたりしたと思うが、この説明会のメインイベントは制服のサイズを計ったり、教科書やらスリッパやらを購入したりする事だ。
確か選択科目もここで決めたと思う。
音楽か、書道か、美術の3つから選び、その日のうちに必要な道具を買い求めた。
教科書は体育館前で販売、制服のサイズ計りは視聴覚室、スリッパは渡り廊下の突き当たりと、フリーマーケットのような雰囲気の中で買い忘れた物はないか?と確認する。
周りにいる新入生達は親の付き添いがついていて、荷物を持ってもらっていたり、購入も親がしていたりしている中、俺は1人。
助けはない。
必要な物の買い忘れはないか?と何度も何度も鞄の中を確認し、荷物の重さに何度か腰を下ろした。
こうして最後に向かったのは視聴覚室。
制服のサイズ計り。
自分の成長の限界を感じていた俺はこの時「大きめじゃなくて良いです」と自己申告をしたのだが、手元に届いた制服と体操着は大きかった。
そんなゆったりサイズの制服と体操着は、卒業する頃……やっぱり少し大きかった。




