レクリエーション
中学校最後の思い出作りとして、文化祭みたいなレクリエーションが行われた。
参加は自由で、出し物も自由。見る場所も出席番号やら背の順やらクラスも関係なく、好きな場所で良かった。
そんな自由度の高いイベントは、やる気のある生徒が異常に盛り上がるのに対し、俺のようなボッチは、参加しないと欠席扱いになるから。と言う理由だけでその場にいるだけの置物と化す。
楽しそうに歌ったり、踊ったり、手品をしたりしている同級生達を、薄暗い体育館の隅っこから眺めつつ、全員に配布されたお菓子とジュースを口に運ぶ。
そのお菓子の袋の中には1枚のビンゴカードが入っていて、最後の目玉となるビンゴ大会が行われた。
リーチになった者は「リーチ」と主張しなければならず、揃った物は「ビンゴ!」と叫ばなければならないあの恐ろしい催し物だ。
俺は必死になって揃わないようにと祈ったのだが、3位だったか4位だったか、兎に角景品がもらえる順位の時に揃ってしまった。
2位の生徒が「ビンゴ」と手を上げた時、周りの生徒らは「リーチ」を言ってなかったとして結構な時間2位の生徒を攻め立てていたので、同じく「リーチ」を言わなかった俺も攻め立てられる事は必至。
しかし、手元にあるビンゴカードは揃ってしまっている。しかも景品は図書カードと地味に豪華。
「……」
俺は1度折った番号を元に戻し、揃っていない振りを続けた。




