倒れる生徒
月曜日には体育館での全校集会があり、学級委員長からの報告とか、校長先生の話とか、生徒指導の先生からの話とか抜き打ち持ち物検査とか、頭髪検査などが行われていた。
なので、結構な時間生徒達は体育館という空間で整列していなければならない。
そして時々でるのが、倒れて運び出される生徒だ。
立って話を聞いているだけで倒れるなんて、どんな病弱な人間だ?
そうやって俺はその日まで、倒れて運び出される生徒は特別病弱な人間。だと思っていた。
その日の集会も結構なボリュームで、最後の話が始まる頃になると足が疲れたと思える程だったのだが、同時に頭がフラフラとしてきた。
気温は高かったのか低かったのか、ただ雨が降っていて、体育館の中は凄まじいまでの湿度になっていたと思う。
頭のフラつきは徐々に気分の悪さに変わり、ジッと立っているだけの行動が難しく感じてしゃがみ込んだ。
不思議な事に数秒座っているだけで随分と楽になるので、俺は立ったり座ったりを繰り返しながらやり過ごそうと思ったのだが、また少し容態は悪くなり、座っても気分の悪さが取れなくなってきた。
そうなると当然立てないし、気分は悪いし、フラフラするし。
ポテ。
しゃがみ込んだ状態から倒れる。という地味さからなのか、倒れたとは思われず、立ちなさい。との注意を英語教師が何度かしてきたと思う。
しばらく倒れていると少し気分が良くなったので起き上がり、座り込み、また少し楽になった所で立ち上がって最後まで話を聞いたのだった。
集会中に倒れて運び出される生徒というのは、本当に特別病弱な人間である必要があり、周りにも倒れる可能性があると認知されている生徒でなければならないのだ。




