街灯の後ろ
日曜日の午後、まったりと過ごす為に家を出て、アテもなくフラフラとご近所散歩。そして何となく入った近所の商店街。
その奥に喫茶店があった。
1度も入った事がない喫茶店だったので入ってみると、友達とティータイムを楽しんでいるキユウがいた。
スグに目をそらしたにも拘らず、それでも地味に合ってしまった視線。
挨拶をした方が?しかし友達と喋ってる最中だし……。
「こっちおいでーや」
親しげに声をかけてきたキユウ。
顔を向けると、友達までオイデオイデと手を振っているではないか。
「久しぶり。こんにちは……と、始めまして」
「久しぶりー」
「始めましてーって、同じ学校やし」
ペコペコと何度か軽く頭を下げながら着席し、珈琲を注文して2人の会話を余り聞かないようにと努力しつつ聞き耳を立てていると、とんでもない情報を得てしまった。
カズマは、キユウの事を想い過ぎているせいでストーカー扱いを受けていたのだ。
流石に、会話に入らなければならない。
「なんかされた訳じゃないんやろ?」
何もされなければそれで良い。と主張した訳ではなくて、ストーカーとの表現が適切なのかどうかを考えてから発言して欲しかっただけ。
「別になんもされてへんけど、私の家の前に外灯あるん知ってる?」
外灯?
キユウの家には何度か行った事はあるものの、家の周辺にある物なんて正確には覚えていない。それでも円滑に会話を進めるには“知ってる”と言うしかないので頷くと、
「時々その後ろに立ってんねん……」
と……。
「こわっ!」
俺は考えるよりも先に声をあげていた。




