サボテン
いつの間にか玄関横に置かれていた小さなサボテン。
何度か濃いピンク色の花を咲かせ、上に伸びるように成長していたが、種類は良く分からない。
毎日ではなく、気付いた時に水をやる程度でもスクスクと成長し、気が付けば結構な大きさになっていた。そこまできてようやく、ちゃんと育てよう!と気合を入れた俺は、まず100均に向かい、土と植木鉢を購入した。
その後もすくすくと成長し、2度目の植木鉢購入。
そして終に子吹きした。
サボテンの育て方。とか言う本を読みながら、書かれてある通りに子をスパンと切り取って日陰に置いて乾燥させ、2週間ほどしてから小さくなって使っていなかった植木鉢に軽く乗せるように浅く植えた。
しかし、子はシワシワになって根を出さずに枯れてしまい、親も子吹きした周辺から徐々に萎んでしまった。
これは、胴切りをするべきだろうか?
子を枯らしてしまったので、親を枯らす訳にはいかない。と、俺は翌日胴切りの詳しい方法を調べに行こうと眠りに付いたのだった。
翌日、玄関を開けてサボテンを置いていた場所に視線を向けると、そこには植木鉢ごと地面に落ちているサボテンの姿が。
植木鉢は割れ、土は飛び散り、無残にも地に落ちて横たわっているサボテン。
一刻の猶予もないと感じた俺はその場で胴切りを実行し、切り口を乾かす為に日当たりのよい場所にサボテンを置いてから学校に向かった。
帰宅したら100均に行って、新しい植木鉢と土を買おう。そして今度こそ子を枯らさずに育てるんだ。と、頭の中でそんな事ばかり考え、1人で盛り上がっていた。
乾かしているサボテンがゴミ認定を受け、捨てられている事も知らずに。




