天秤にかけた
原因はなんだったのか、切欠はなんだったのかは分からないが、気が付けばなんとなくヨネゾーとタムの仲が悪くなっていた。
派手に喧嘩をしている訳ではないのだが、目を合わせないし、絶対に隣同士になりたがらないし、なによりヨネゾーがヒロとタムのいるB組に寄り付かなくなった。
昼休みになれば食堂で一緒に食べるし会話もしているのに、食べ終えた後、食堂から出た所で別々に歩き出す。
タムの交友はかなり広くて一緒にいると楽しいのだろう、ヒロはタムと一緒の方角に歩き出し、俺は特定の人と狭く深い関係を築くヨネゾーと一緒にいる方が心地良いからヨネゾーに着いて行った。
綺麗にA組とB組とで分かれていたせいなのか、4人で集まる事も減り、ヒロとタムが部活動に顔を出す事も減り。そこでようやく尋ねてみた。
「なんかあったん?」
ただの喧嘩にしては地味だし、仲直りする雰囲気も感じられないし、下手をすればこのまま友達でもなくなりそうな勢いだと思ったから、特に理由がないのなら久しぶりに4人で何処かへ……。
「一緒におりたくないなーって」
詳しい事情は教えてくれなかったが、一緒にいたくない程の何かがあったらしい。
言われてみれば俺だってタムに対して良い感情は抱いていない。このままヨネゾーと一緒にいたら、タムからの嫌がらせを受けずに済むかも?
小学校時代から続いた“贔屓される側”と“贔屓されない側”の呪いが解けるんじゃないか?
しかし、このままだとヒロとも疎遠のままだ。
ヨネゾーがタムとの交流を望まないのだから、仲直りさせようとしたって無駄だと思った俺は、その場でヨネゾーか、タムかを選ぶ事にした。
答えは、随分と呆気なく出た。
「俺もタム苦手―」




