進路
地元には3つの公立高校があり、少し行くと女子高と専門学校もあって、3年にもなると何処に行こうか?という話題で持ちきりになる。
何人かは地元を離れた学校に行くと言った。
ヨネゾーもその中の1人だ。
英語が得意なヨネゾーは、通いながら英検が取れる英語特化学校に行くと言い、通訳系の仕事がしたい。とか何とか。
先の先まで見通した夢を語る姿は、俺達と騒いでいた人物とは別人に感じたものだ。
将来の事を全く決めていなかった俺は、とりあえず家から1番近い高校を選んだ。
地元の3校ある公立高校の中で、小学生レベルの頭脳があれば合格すると名高いハードルの低さを誇る素敵な学校だ。
テストの点数が5教科合わせて90点台の俺にはそこしか受かりそうな所がなかったし、選択肢は初めからなかった筈なのだが、志望校を書いて提出した俺に担任は第2志望を書けと言ってきた。
しかも、とある学校の名前を書くようにと言ったのだ。
そこは電車に乗って通学しなければならない場所にある専門学校。
熱心に勧めてくる担任、親父を呼んで3者面談をしようと言う位熱心に勧めてくるその専門学校は、自分の名前が書けるだけで合格出来ると噂の狂人的な強さを誇る滑り止め学校だった。




