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SHORTで、俺。  作者: SIN
中学校 3年

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常連さん

 家の近所には、犬を2匹、猫を1匹放し飼いにしているたこ焼き屋さんが1件ある。店の中にはテーブルが3脚あって、中でも食べられるようになっていた。

 犬は2匹共マルチーズで猫は確か三毛猫だったと思う。そして店主は少し顔の険しい小型のオバサン。

 幼少期、その店の犬に追いかけ回された記憶から、俺はその店の前を通る時はいつも足早で、そこで何かを買った事も無かった。

 しかし、その犬が放し飼いではなくなった後は、結構頻繁に行くようになっていた。

 理由は学生のお財布にかなり優しい値段にある。

 たこ焼き6個で100円。これ位ならば他にも店はあるだろうが、そこは焼きそばまで100円だったのだ。流石に具は何も入ってはいないが……美味しい。

 財布に100円があったら「買いに行こう」とヒロやヨネゾーと買いに行っていた程なので、週に2、3回は行っていただろうか。しかも3ヶ月は具なし焼きそばブームが続いたのだから、俺達は常連と言っても良かったと思う。

 しかし、その時は訪れた。

 その日もヒロと一緒に焼きそばを買う為に店先に立った。

 オバサンはお好み焼きを焼いている最中だったので少し待つ事にしたが、一向に注文を聞かれない。

 少し首を伸ばして店内を見ると、3脚あるテーブルが全て埋まっていた。

 なのでもう少し待とうとした。

 「先にジュース買いに行く?」

 店から数メートル先にある自動販売機の方を指差し言うと、顔を上げずに視線だけをこっちに向けたオバサンが小声で何か言った。

 やっと注文を聞かれた。と思ったので、

 「焼きそば2つ」

 と、注文したのだが、オバサンは俺達に注文を聞いた訳じゃなかったので、今度は少々イライラした風に何かを言った。

 ゴニョゴニョとしてよく聞き取れなかったので、もう1回注文してみたその直後、

 「常連さん来てるから後にして」

 そうあしらわれてしまった。

 え?と顔を見合わせる俺とヒロだが、オバサンは作業に戻ってしまい、少しもこっちを見ない。

 俺達は、常連ではなかったのだ。

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