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SHORTで、俺。  作者: SIN
中学校 3年

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喉が枯れた

 喉を潰せば声が低くなる。

 それを実行するべく俺はカラオケに行く事にした。のだが、1人カラオケはハードルが高過ぎるので誰かと一緒に行こうとしてゲームセンターに向かった。

 ゲームセンターという喧しい所ならば、長時間世間話をするだけでも喉が枯れるだろうと考えたからだ。

 こうして来てみて初めて世間話が出来るような知り合いがいないという初歩的な事に気が付く。

 何度も顔を合わせているシマ君さんですら慣れておらず、名前で呼んだ事が1度もないほど遠い存在だった。

 そうだ、声を低くするにはどうしたら良いのか相談してみよう。

 立派な話しかける口実が出来てしまえばこっちのもの、堂々とゲームセンターの2階に向かい、シマ君さんの隣へ。

 「よっ」

 「こんばんは」

 挨拶を終えた後は、声を低くしたい事と、それには喉を潰す以外にどんな方法があるのかを尋ねようとしたのだが、

 「喉潰したらアカンわ!」

 と、話の途中で怒られてしまったので、

 「じゃあ、他にどんな方法があるんさ」

 つい喧嘩腰になってしまった。

 するとシマ君さんは少し考え、

 「それは知らん。でもあれやで、喉潰してもガラガラ声になるだけで低くならんで」

 と。

 ガラガラ声と言う事は、ハスキーボイスになるって事じゃないのか?俺はまさにそれを目指しているのだか?

 「それでえぇねんけど」

 「朝市のオッサンみたいな?」

 それは行き過ぎだけれども!

 「なんか、ハスキーで渋くて、えぇ声」

 「ガラガラ声はえぇ声ちゃうやろ」

 ハスキーボイス!

 喧しいゲームセンターの中で会話していると、思った通り喉が枯れてきた。

 普通なら喉を潤す所を無視して喋り続ける事しばらく、徐々に喉の痛みが耳に響くようになっていた。

 こんな痛い思いをしてまで声質を変える必要ってあるのだろうか?

 そもそも声質って変わるのか?

 声が多少低くなった所でモテる訳もなし、多弁になる訳でもなし。

 じゃあ、良いか。

 自分の中でハスキーボイスへの憧れが消えた所へ丁度、

 「喉渇いたな、何か飲みに行こか」

 と声をかけられたので、俺は大人しく喉に良いと聞いた紅茶を飲んだのでした。

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