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SHORTで、俺。  作者: SIN
中学校 2年

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300/485

英語で劇

 文化祭の出し物を決めるHR、学級委員長が教卓前に立っていろいろと仕切っている中、担任が1番に発言をした。

 「英語で浦島太郎をします」

 決定事項だった。

 担任は英語教師だったので、まぁしょうがないと諦めて配役を決める。当然英語の点数が良い生徒から役が決まっていった。

 そして残ったのはテストの点数が1ケタ台の救いようのない生徒達。その中でも俺は1番頭のデキが悪い。

 担任は、クラス全員1回は舞台上で何か一言でも台詞を、と考えていたらしいのだが、俺を含めた3人の生徒は諦めたようだった。

 そうして俺達3人は舞台に出ずともちゃんとした役割が果たせる役を担う事になる。

 1人は台詞の翻訳が書かれた模造紙を捲る係り。

 1人はコロコロと変わる舞台セットには欠かせない幕引き係り。

 そして俺は音響担当になった。

 竜宮城での魚達によるダンスシーン以外は波の音、というシンプルな物にしたので当日は楽に出来る筈だった。

 しかし、翻訳模造紙係りの奴が文化祭当日登校して来なかった事で一気に慌しくなる。俺ともう1人以外は自分の出番があるので幕引きや翻訳模造紙係りが出来ない。

 幸い俺のボタン操作は始めに波の音を流してから竜宮城でのダンスシーンまで仕事がないので翻訳模造紙係りが出来そうだった。そして幕引きの奴も亀が浦島太郎を連れて舞台を降りるまで仕事がない。そこで幕引き係りが最初の波の音を出すボタンを押しに行ってくれる事となった。

 さて、本番が始まった。

 ナレーターがあって、亀が舞台に登場。

 ズンチャ♪ズンチャ♪

 波の音が出るべきシーンで、行き成りダンスミュージックが流れ始める。

 しまった、波の音が2曲目である事を伝え忘れていた!

 「2曲目!2曲目―!」

 音響ブースに向かって声を上げた俺は、舞台上で台詞を言った事になるのだろうか……。

 その日のHR。

 担任はまず英語で劇をやり遂げた出演者達を褒め称え、クラス全員に拍手する事を強要し、その上で言ったのだ。

 「今日の劇は良かったけど、1箇所だけ残念やったねぇ」

 と。そして続ける。

 「さぁー、何処が残念やったか、分かる人―」

 何人かが挙手し、担任は乙姫を演じた女子生徒の名を呼ぶ。

 「音響でーす」

 女子生徒はニヤニヤと笑いながら俺を指差すから、クラス中から視線が集まってくる。

 「はい正解。音響の人、立って」

 そう言われて立ちあがり、軽く手を振って着席しておいた。

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