ヨネゾーかタム
何故か嫌な雰囲気というのは意識せずとも重く圧し掛かってくるものだ。
ギスギスしている、トゲトゲしい……そんな感じで酷く居心地が悪い。
無言で弁当を食べている行動はこれまでと変わらないというのに、この場から立ち去ってしまいたい程の気まずさに俺は口を開けた。
「今日のテーマ、ヨネゾー」
心配そうな顔で俺を見てくるのはヒロ。どうやら似たような空気を感じていたらしい。
「じゃあ聞くけど、お前は俺かコイツか、どっちがえぇん?」
ヨネゾーが箸でタムを指し示しながら俺を睨んで来た。
聞かれるとは思っていたのに、イザこうして聞かれると答えに辛い。
しかし、俺に選ぶ権利があるのだから、選ばなければならない……ヨネゾーか、タムか。答えはもうとっくに出ていた。
考えるまでもなく。
「俺は……画展に行くよりも、パステル購入の方が良い」
ハッキリ口にすると、タムはクソッと小さく呟いて頬杖をつき、ヨネゾーはヤッターと両手を挙げた。
こうして部費の使い道についての「友情会議」は終わった。




