猫派VS犬派
昼休み、弁当持参で食堂に行き、それでヒロ達と集まって行われるのは食事会ではなく、友情会議だ。
「今日のテーマはぁ~はい、木場っち」
適当に指名された奴がテーマを決めるのはいつの間にか出来たルールだった。しかし誰が指名するのかというのは、言った者勝ちというゆるいルールではある。
「じゃ~猫派か犬派か」
弁当箱を開ける俺に、スッと箸を向けて来たカツ丼が大好きなタムは、
「それありがち」
との決め台詞。
「え?お前またカツ丼なん?」
タムの隣に座っているヨネゾーは、丼の中を覗き込みながら少々大袈裟に驚いているのだが、真正面に見えるヨネゾーの丼の中にもカツが見える。
「ちゃうで、カツ丼大、やで」
多分用意していたんだろう言葉をドヤ顔で披露するタムに、タムの正面に座っているヒロがかなり食い気味に、
「やかましいわ」
と、締めた。
そしてしばらくの沈黙タイム。皆、黙々と飯を食う派、である。
全員が食べ終わる頃になり、やっとテーマの確認をして、そこからいよいよ始まる「友情会議」。
「犬派」
と最初に発言をしたのは犬を3匹飼っているヨネゾーだ。
俺は犬が「怖い」ので勿論、
「ニャー」
と言った。するとヨネゾーの隣にいたタムがまだカツ丼を頬張りながら、
「にゃおーん」
俺の隣にいるヒロはその流れで、
「シャー!」
決して、知的な会議などではないのである。




