表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
SHORTで、俺。  作者: SIN
中学校 2年

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

268/485

付き添い

 学校が休みの日はキユウから連絡があればキラの部屋に行く事になっていたのだが、その日、キユウは俺の家にやって来た。

 「ちょっとついて来て」

 と言うので自転車でやって来たのはキラの家の前。

 チャイムを鳴らしても、電話をかけても出ないのだと言う。

 試しに1度インターフォンを押してみるが、何の反応もない。なら留守なのだろうと思っても、携帯にも出ないのは少し変だ。

 「今日会う約束してたのに……」

 そうなのか!?

 そういえば、キラが待ち合わせ場所にちゃんと来た試しがない。キラ本人が1時に駅前でと言ったとしても、約束した時間に約束の場所に来ないのだ。

 1時間待てば来る?それとも2時間?

 いや、5時間待とうが来ない。

 誰かが出て来いと電話をしないと駄目で、それだけではなく、家まで出向かなければ出て来ない。

 つまり、今はその最終段階なのだろう。

 「もしかしたらゲーセンにおるかも。付いて来て」

 部屋で熟睡しているだけ。との選択肢が残っている中、闇雲に探して回るらしい。本当なら勘弁願いたい状況ではあるが、俺はゲームセンターまで付き合う事にした。

 もし本当にキラが部屋で寝ているだけだった場合、俺とキユウは部屋に上げられるだろう。そうなった後に待っているのは、ベッドの中でイチャイチャする2人をただ見ているだけという不思議な時間だ。

 こうしてやってきた何軒目かのゲームセンターの2階に、彼女とのデートをすっぽかし、何人かの男女と共に遊んでいるキラがいた。

 なんと酷い男だろう?しかしキユウは出会えた事に安堵し、喜び、黙ったまま少し離れた場所に座ってキラを眺め始めたのだ。

 「行かんの?」

 隣に座って声をかければ、

 「うん。呼ばれてへんのに行ったら怒られるかも知らんし」

 と、笑った。

 怒って良いのはキユウの方だと思ったが、本人が穏やかに微笑んでいる中では何も言えず、数回頷いた後UFOキャッチャーを見る為に1階へ降りた。

 1階ではキャッチャーの他にも音楽ゲームがあって、プリクラもあるので、ビデオゲームが主流の2階とは雰囲気がガラリと違う。

 「今日、何か五月蝿くない?」

 ウロウロしていると、突然そう話しかけられた。

 今日五月蝿くない?と聞かれても、今日以外を知らないので何とも言えない。

 「そうですか?」

 ボカして答えてみると、更に他の人がやって来て、

 「上にタロー(キラの事)達おったで」

 と。

 「ゲームせんなら他行って欲しいわ。なっ」

 物凄い勢いで同意を求められてしまったが、それに答えるよりも先に、

 「元気があって羨ましいわ」

 と、また1人。

 誰?

 どう言う事?

 パニックになっている俺を他所に、3人はゲームセンターから一旦出ると自動販売機でジュースを買い、立ち話を始めた。

 その輪の中に、何故か俺。

 「で、自分なんでここにおるん?タローのツレちゃうの?」

 外に連れ出した挙句にジュースまで奢っている相手に対するセリフとは思えないが、色々尋ねられたので答えなければならない。

 「友達ですが、今日はその……付き添いで来ただけなんで……」

 「付き添い?誰の」

 「彼女の」

 そう言いながらゲームセンターの2階を指差して答えると、察したらしい2人が、

 「え!?タロー彼女おったん?ちょっと見てくるわ」

 と、ゲームセンターの中に戻り、残った1人は俺の前に立ったまま。

 次の質問を考えているのだろうか?と思ったが実際に言われたのは、

 「どっか遊びに行こうや」

 こんな言葉だった。

 急に誘われた事と、3人もいた知らない人が1人に減った事と、ジュースを奢ってくれた人という事が重なったせいで俺の頭は完全にリラックスしてしまったのだろう、物凄く普通に、

 「行かんし」

 と、答えてしまったのだった。

 その後スグに彼女がいる事をばらされたキラが怒りながらゲームセンターから出て来て、俺と一緒にいる人が目に入ったのだろう、

 「シマ君こんちはー」

 と、軽く頭を下げただけでゲームセンターの中に戻り、代わりにキユウが出て来た。

 「迷惑になってるみたいやから帰ろ」

 キラの態度には少しばかり言いたい事はあったが、シマ君さんとの会話を強制終了させるために俺は喜んで帰宅したのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ