想像力
小さい頃、俺は凄まじい想像力を持っていた。
ボンヤリと外を眺めていて、通り過ぎていく人と目が合った時なんか、その人から見た自分の姿が見えたりする位凄かった。
透視とか千里眼とかそんなものではなく、ただの想像。
もし本当にそんな才能があったのなら、テストでは常に満点だった筈だ。
ある日の事、幼稚園の教室で俺は先生の話も聞かず、またボンヤリと色んな視点から景色を見て遊んでいた。
先生から見た教室内、教室の隅にいる児童から見た教室内。すると、何か白い枠越しに自分の姿が見えた。
なんだろう?誰だろう?
教室を見渡してみても白い枠なんてものは存在しない。
気のせいだろうと結論付け、マジメに先生の話を聞こうとした時、隣から物凄い視線を感じた。
その時俺が座っていたのは教室の端。横に他の児童なんかいないし、教室の外にも誰もいない。俺と、壁の間にあるのは2段ラック。
上の段には積み木のような遊具がゴチャっと入れられていて、下の段には白い発泡スチロール製の箱が入っていた。
僅かに蓋が開いている箱の中、俺が座っている所からはその箱の中で泳ぐ1匹の金魚が見えた。




