活動
顧問が不在だからなのか、特に入部届けも書かないうちに俺は美術部員として先輩方に認められた。と言っても大層な儀式があった訳ではなく、
「よろしくお願いします」
「はいはい」
のみだ。
そして美術部としての活動は、本当に何もない。
「何で美術部?」
あまりにも不思議で、先輩方が帰った後ヨネゾーに聞いていた。
「クラブ活動してる方が内申ってえぇんちゃうの?」
そうなのか?
「にしたって……運動部の方が良さそうやん?」
完全にイメージだけで会話を繰り広げていると、不意にヨネゾーは俺の傷めた左腕をツンツンと突いてきた。
「こんなん、嫌やし」
こんなんとは、失礼な言い方である。
「体育の授業全部スルー出来るし、楽でえぇわ」
そんな事よりも、部員数だ。
俺にはアテがあった。クラブに入れと散々担任に進められてもなお帰宅部を選んだ友達が1人いたのだ。
まだ携帯を持っていた時の事、当然のように電話をする。
「付き合って」
「なに?どゆ事!?」
受話器越しに聞こえて来る困惑した声を無視し、俺はそのまま会話強制終了させ、ヨネゾーと笑い合った。




