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SHORTで、俺。  作者: SIN
中学校 1年

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246/485

要望

 席替えの末、教卓の真ん前の席になった。

 元教卓前だった生徒の話によると、ホームルームの時は担任の唾が飛んで来るらしく、俺は朝から憂鬱な気分だった。

 予鈴が鳴って自分の席に戻ると、しばらくして担任が教室に入ってきた。

 「なんや、席替えしたんかー」

 と、担任は教卓に張られた新しい席順に視線を落とし、その序に下に有る俺の顔を確認したのだろう、

 「木場はここかぁ」

 とか呟いた。

 担任は予鈴が鳴る頃に教室にやって来て、本鈴が鳴るまでは教卓前に座り、ボンヤリと教室にいる生徒を眺めたり、生徒と喋ったりしていた。

 教卓にいる担任と、教卓前の席に座る俺。本鈴前なので教室内は生徒達による私語で少々やかましい。だから、喋る時は顔を近付けなければ聞こえない。

 教卓に頭を伏せる担任と、少し身を乗り出す俺。

 そんな至近距離で時々、呟くような小声で言われる言葉があった。

 「メガネ外して」

 そんなある時、朝の点呼を取り終えた担任は、名簿に丸とかバツをつけていた3色ボールペンを俺の机の上に置いた。

 落としたのだろうか?と3色ボールペンを持って差し出してみるが、担任は受け取らずに少しだけ顔を近付け、

 「あげるわ」

 と。

 「え?あ、ありがとう……」

 「その代わり、ホームルームの時はメガネ外してて」

 担任からもらった3色ボールペンは卒業するまでしっかりと使えたので、俺は担任が担当してくれた1年と3年の間、ホームルームでメガネはかけなかった。

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