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不審なオッサン
夏休みの終わり頃、涼を求めて駅前の100均に行った時の事。
特に用事もなくキッチン用品を見ていた俺の前方に、帽子を深く被っているかなり怪しい風貌のオッサンが立っていた。
ジィっと俺を見ているオッサン。
なんだろうか?と顔を上げてオッサンの顔を見ようとしたのだが、帽子のせいでよく見えず、流石に不気味になって工具が置いてある場所に移動した。
後を付けて来るという事もなく、俺は「変なオッサンがおったなぁ」と既に思い出話として脳内処理したのだが、
「こっちです」
お茶パックが切れている事を思い出し、再びキッチン用品が置かれている場所に近付いていくと、警察官2名と1人の店員が、さっきオッサンが立っていた場所を調べていた。
かなり気になったので何気なく覗き込んで見ると、そこに陳列されていたのは包丁で、ゴッソリと中の包丁だけが万引き被害にあっていた。
犯人は、あのオッサンだったのだろうか?
もし、あのまま移動せずに近付いていたら、どうなっていたのだろう。




