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SHORTで、俺。  作者: SIN
中学校 1年

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ヤンデレ?

 昼休みだったか、それとも放課後だったのか、俺は1人の女子に話しかけられた。

 それまで全く面識は無く、名札を見るまでは名前すら分からなかった他のクラスの女子だった。

 「なに?」

 尋ねてみると、女子は周りをかなり警戒しながら耳元に顔を近付けてきて小声で言う、

 「タム君と友達やんな?」

 と。

 ヒロやヨネゾーならまだしも、何故タム?タムを友達だと思った事なんて!

 1度も無かった。

 この頃はまだヒロやヨネゾーに対しても「本当に友達なのだろうか?」と疑問を持っていた時だったので、嫌な思い出のあるタムに対して持っている感情なんてものは「同じ小学校出身」位。

 しかし、友達?と尋ねられてしまったら、はい。と答える事しか出来ない。

 女子は無邪気な笑顔で世間話を始めたけど、タムに対して何か俺にやって欲しい事があるのは分かっていたし、頼み事をするほどの仲になろうとして無理矢理世間話をしている雰囲気もバッチリと伝わって来ていたので、そんな作業は必要ない事を教えてあげた。

 「で?」

 1文字で。

 女子はそれでも少しの間世間話を続けたが、徐々に本題へ入った。それによると、女子はタムと友達なのだと言う。しかし、数日前から急に距離を置かれるようになったとか。

 女子には冷たくされるような心当たりが全く無く、何度も本人に問いかけたらしいが、タムは何も言わずに逃げ回るのだという。

 そこで、俺が間に入って仲直りさせて欲しい。と。

 目の前で手を合わせられては断れず、日曜日の昼過ぎに待ち合わせて2人してタムの家に向かった。

 ピンポーン♪

 呼び鈴を押して随分と経ってから出てきたのはタムの弟で、家の中を何度も何度も振り返りながら、

 「お兄ぃはいません」

 と、物凄い片言で言って、俺達の反応も待たずにドアを閉めてしまった。

 物凄い違和感に、居留守を使われているのだろうと思った女子は、

 「タムゴメン!出てきて」

 と、家の中にも聞こえるような大声で叫んだ。

 1回ではない。かなり長時間玄関前に立ち、何度も、何度も。

 しかし、タムも弟も出て来ない。そこで女子は携帯を取り出し、タムの携帯にかけたのだが、当然出る訳も無く。すると女子は違う番号に電話をかけ始めた。

 「……タム、出てきてや。なんで怒ってるんか分からんけど謝るから」

 電話を切ってから少しの間静かにしていた女子は、再び電話をかける。

 「なぁ、タム出て来て。仲直りしよう」

 またしばらく静かにして、再び電話。

 似たような言葉を何度も留守番電話に残す女子の執念が怖かった。

 結局、女子は1時間以上も粘り、

 「今日は帰るから」

 との捨て台詞と共に帰って行った。

 女子がいなくなり、その場に取り残された俺は1回だけ呼び鈴を鳴らしてみたが、無反応だったので家に帰った。

 その翌日、俺はかなり恐ろしい事をタムの口から聞く事となる。

 あの女子とタムは友達でもなんでもなくて、数回喋った事がある。程度の関係だったらしい……。

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