クッキー作り
時々クッキーミックスを買って、クッキーを焼くようになっていた。
作るのが楽しいだけなので、食べるのは弟。
1度たりとも「美味しい」と言わないので、ココアを混ぜ込んだり、紅茶の葉を混ぜ込んだりと色々手を加えるようになり、終にある時、クッキーミックスを使わないで作ってみよう。となった。
バター、卵、小麦粉。
グルグルと混ぜて1塊にして、それでも粉っぽさがなくなるようにとしっかり混ぜた。いつもクッキーミックスで作っている時と同じように。
打ち粉をしたまな板の上に生地を置き、麺棒で伸ばしてみると、いつもとは違った感触があった。
伸ばしても、グッと縮むのだ。
それでも、クッキーミックスじゃないからだと自分なりに解釈して、いつもよりも分厚い生地をクッキー型で抜いていく。
クッキングシートに並べ、オーブンで焼いてみると、見た目はいつもとそんなに変わらないクッキーが出来上がったのだが、焼き加減をみようと口に頬張った瞬間、いつもとは明らかに違うクッキーに戸惑い、口から出してしまった。
これはクッキー?
食べられるものか?
材料はバター、卵、小麦粉。可笑しな物は何1つ入れてない。
だったらこの食べ物ではない感じはなんだ?
冷まして食べたら普通かも?
と、冷蔵庫の中にクッキーを入れて1時間後、口に含んだクッキーは、更に可笑しい事になっていた。
これは、石?
そう思えてしまう程の強度。
なにが駄目だったんだ?ベーキングパウダーが必要だったのだろうか?それとも卵の量を多めにした方が?
試行錯誤しながら何度か作ってはみるが、小麦粉を練って焼いた石っころが出来上がるばかり。
何が駄目なんだ?
何処が可笑しい?
分量か?
材料か?
焼き加減?
そんなある時、バラエティー番組か何かでとりもちを使ったイタズラを見た。すると親父だったか、それともゲストの1人だったか、こんな話をした。
小学生の頃、強力粉を練って、洗ってを繰り返してとりもちを作った。
と。
練ると物凄い事になるんだなぁ……。
あれ?だったら薄力粉も練ると物凄い強度になるのかも?
こうして俺は、全く練らずにクッキーを作ってみる事にした。
バターと卵を混ぜ、小麦粉を入れた後はザックリとだけ混ぜ、生地がポロポロのまま冷蔵庫で寝かせ、麺棒で延ばす直前にギュッと数回おにぎりを作るみたいに圧力をかける。
打ち粉をしたまな板の上に置き、麺棒で伸ばしてみると、伸ばしたら伸ばした形のまま縮む事は無かった。
これは、もしかして?
そんな期待を胸に焼き上げたクッキーは、口に入れた瞬間に崩れて溶けるような柔らかい仕上がりに!更には弟から「普通に美味しい」との言葉をもらった。




