演じてみよう
女子への対抗としてBL小説を書いている時の事、よりリアルな物を書くには、よりリアルに知る必要がある。
そう理論的に考えた俺達は、クラスの女子達に色々な本を借りて読みふけっていた。
「こんなんある訳ないやん」
「これはないわ~」
俺達の口から出るのはそんな言葉ばかりだ。しかし女子達は、
「こーいうのがえぇんやん」
だの、
「こーいうのがないからアンタらはモテへんねやろ」
と言い返してきた。
少し納得してしまった俺達は演じてみる所から始めようとした。
「俺、お前の事が好きかも知れない」
1人の男子がそれっぽい台詞を言うと、他の男子が、
「え?そんな、急に言われても」
と返事をした。
演技だとはいっても告白の場面、2人はかなり恥ずかしそうにしていた。
これならリアルな物が書ける気がする!
俺とヒロは想像を膨らませる為、手を繋いでみて。とか、ハグしてみて。とか、色んな注文を出した。そして終に役者の2人が五月蝿く注文を出す俺とヒロに怒鳴った。
「お前らもやれや!」
しかし、この2人は分かっていない。
「俺、お前の事が好きかも知れない」
「あはん、嬉しいわぁ」
俺達に任せると、とんでもないコント仕掛けになるという事を。




