自由帳
元々1人でいる事が好きなナチュラルにボッチだった俺は、人と拘わる事を極度に嫌う子供となり、幼稚園から帰ると家から1歩も出ないと言う日々を過ごしていた。
そして見付けた遊びは絵を描く事。
親父に自由帳を買ってもらい、テレビに出ている人物を描いていて言われたのは、
「そんな紙の無駄使いするんなら、もうノート買わんぞ」
だった。
一生懸命描いた絵の評価は、ゴミ以下。
そう言われて改めて自由帳を見ると、人物の髪の部分は白いままで、1ページにつき1人と、かなり白い部分が多かった。
あぁ、確かに紙の無駄使いだ。
1ページ目に戻し、普通の鉛筆から色鉛筆に持ち替え、俺はそれから毎日違う色を使って1ページ目に何度も何度も人物を書き続けた。
こうして白い部分が無くなってから2ページ目に進むと言う非常に経済的なノートの使い方をしていたにも拘らず、ある日親父により自由帳は没収された。
「絵ばっかり描くな」
との言い分だったのだが、本音が違っていた事は知っている。
親父は同じページに絵を描き続ける俺の精神状態を心配しただけなのだ。




