非科学的
同じ学年には、自称霊能力者が2人いて、その霊能力者によって“魔女”と呼ばれている女子が1人いた。
自称霊能力者のうちの1人は男子でC組。もう1人は女子でB組だったか、D組だったか……。そしてその2人から“魔女”と呼ばれていた女子はA組。俺と同じクラスだった。
物静かな魔女は、ボッチとまではいかないが1人でいる事の方が多かったが、他のクラスにいる友達と一緒の時は相当物凄くて……なんと言うのか、肩をポンと叩けば良いだけの時でも全力でバシィ!と叩くような荒々しさを持っていた。
そんなある日の昼休み、魔女が廊下を眺めていた。ボンヤリと言う訳ではなく、何かを見ているようなしっかりとした目付き。
そのまま徐々に教室内に視線を移したかと思えば席から立ち上がり、
「もうえぇから教室帰り。あんな、あんまりこう言う事したらアカンねんで?」
と、宙に向かって説教を始めたのだ。
教室にいた俺達は唖然とその様子を見学していたのだが、魔女は物怖じする事もなく説教を続ける。
そして、うんうん。と頷いた後席に座り、弁当を広げた。
なんだったのだろう?
不思議には思うが、話しかけ辛いのは皆同じで、誰も何も言わない。
そんな妙な雰囲気の教室内に、自称霊能力者の男子がやってきて、真っ直ぐに魔女の方へ向かって行くと、
「やっぱり見えてるやん。流石魔女」
と、笑顔で話しかけた。
非科学的な事を、少しだけ信じそうになった出来事でした。




