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SHORTで、俺。  作者: SIN
中学校 1年

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調理実習

 調理実習、そう聞くと女子がお菓子を作って意中の男子に配る。と言う幻想を抱く事だろう。しかし、実際は作って食べる所までが授業内容となっている。

 男女2人ずつの班、家庭科の授業1回目の調理実習は自分達で食材を用意すると言う所から始まった。予算は1人300円なので、1200円と言う結構な金額。

 放課後に集まり、材料を一緒に買いに行った。

 その時の内容はサンドイッチとスープ。なんのサンドイッチにするのか、どんなスープにするのかは自由に決めてよかった。

 当日。

 昼休みが終わった直後の5時間目が調理実習で、全体的にテンションが低いまま始まると、女子は食パンの耳を切る所から始め、俺はスープを作り始めた。

 鍋に水を張って火にかけるとお湯が沸くまで暇となる。そうなるとテーブルの上に置かれた具材に目がいく訳なのだが、そこで思わず声が漏れるほどの光景を目撃した。

 シーチキン4缶セットを昨日買った。しかし4人分のサンドイッチなのだから1缶もあれば充分に足りる筈。それなのに女子は4缶全てを開け、ボールにいれていた。それも、油抜きせずに、だ。そしてそこへ更に油成分であるマヨネーズ。

 ベチャベチャと混ぜる音が気持ち悪くて直視出来なくなった所で湯が沸き、コンソメを溶かした液体にコショウを入れるだけという手抜きスープを作った。

 「何でパン、具、パン、具、パン、具やねん!」

 スープを器に入れていると後ろから男子の声がした。

 振り返ると、本来サンドイッチは具をパンで挟んでいる物だと言う常識を打ち破る作品が高く聳え立っていた。

 延々パンと具が交互、一体どこまでが1人前なのだろうか?それとも上から下までの全てでサンドイッチ1個分なのだろうか?そもそもこれをどう食べれば良いのだろう?

 呆気にとられている俺達男子を諸共せず、女子は皿4枚にサンドイッチを取り分けた。

 パン、具、パン、具、と端っこのパンの部分が2皿と、具、パン、具、パン、具、が2皿。俺は後者の方を食う事になった。

 触ると油で萎びたパンから、シチャッと言う音。持ち上げると具の重みに耐え切れずにパンがデロンと崩れ落ちた。

 そんな物であろうとも、食う所までが授業内容なのである。

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