直球
何時の間にかヒロ達の仲間にされてしまった。
しかし、何をどう思っても友達だとは思えず、俺は弁当持参を止めて食堂に逃げていた。
時々3人も食堂だったので、その時は昼食を抜いて教室で昼寝。
変に刺激さえしなければ今まで通り過ごせる。
そう思っていたのだが……。
その日、眼鏡を忘れてしまった俺は黒板の文字が見え難く、更に前の席の生徒の頭が丁度黒板に書かれた文字と被っていた為、ノートをとるのに苦労していた。
「黒板見えへんの?」
授業中、そんな声が後ろからしてきた。
確かに黒板を見るために上半身をかなり大きく動かしながらノートを取っていたが、それをいちいち声に出して言わなくても良いんじゃないか?
クラス全員の前で、遠回しにチビと言っているのだろう。
「目が悪いので」
と、俺は黒板が見えないのを視力のせいにしてやり過ごそうとした。しかし、
「へぇ~最近の眼鏡ってかけたら身長伸びるんや」
と、即効返って来たボケ。クラスの何人かは声も押さえずに笑っている。
遠回しじゃなくて、直球だったようだ。




