酒造は無関係
ある日の事。
クラブ活動が終わって部室で着替え、帰ろうと門に向かって歩き出した所で
「一緒に帰ろー」
と、ヒロに声をかけられた。
その隣には村田の姿もある。
不意に飛び込んできたその姿に頭の中が一気に白くなって、ただ浮かんでくるのは恐怖感。
嫌でも脳裏には小学生の頃の思い出が浮かんでくる。
「1人で帰ります」
そもそも、どうして部活動が終わる時間まで門前に立ってんだ?可笑しい、何かあるんだ。一緒に帰ると言ったら最後、小学生の頃では考えられないような酷い目に遭わされるのかも知れない。
俺の答えに納得出来なかったらしいヒロは、その後も、一緒に帰ろう。と食い下がってきた。
「な、友達になろうや」
何を急に友達?怖い……何を考えてるんだろう?怖い。
「俺と、タムと、ヨネゾーと……何て呼んだらえぇ?」
具体的に紹介されたって、俺の考えは変わらな……え?ヨネ……ん?ヨネゾー!?
「なに?その嫌がらせみたいな変なアダ名」
ヨネゾーと命名されてしまったのは米山(仮名)なのでヨネは分かる。で、どっからゾーが出てきた!?
「ヨネオもヨネジもヨネサブロウもアウトやったら、残すはヨネゾーしかないやん?」
いやいや、ヨネまでが決定してるならそのままヨネで良いんじゃないのか?しかも他にも色々候補はあるだろ。それに、ヨネジが駄目ならゾーも駄目なんじゃないのか?それなのに何故ゾーでOKした!?
「ヨネ倉酒造」
どっから酒造が!?
あ、でもヨネ倉酒造と言われたら、確かにヨネゾーだわ。




