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SHORTで、俺。  作者: SIN
小学校 高学年

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鏡の確認

 小学校を卒業し、なんとなく歩き回った校舎内。

 息を止めてしか歩く事が出来なかった理科室前を、大きく深呼吸しながら歩いたり、幼稚園との境界線にある小人の門を何度も跨いで行き来してみたり。

 そして最後に向かったのは、小学校生活の中で1番不思議だった鏡の前。

 5年生までは確かに大きな鏡が階段の踊り場にあったのに、あの日を境に明らかに小さくなった鏡。

 言われてみればその頃からイジメが激しくなった気がするし、カナヅチなのに、泳いでいるホームビデオの映像があったりもした。

 泳いでいる自分の映像を見た時の不思議な感覚と恐怖。

 記憶がないだけ?だけど泳げているのは何故だ?

 それを確かめるのに、どう言う訳か鏡の前に立たなければならない気がしていた。だけど勇気が出ずに伸ばし伸ばしにして、終には卒業してしまった。

 校舎を自由に見て回れる機会なんて今しかない。

 ゆっくりと階段を上がる。

 1段ずつゆっくりと。

 もう少しで目的の鏡がある踊り場に着く……しかし、ここまで来ていながら、それ以上足は前に出せなかった。変わりに後ろに足を出して階段を下りる。

 そうすると恐怖感とかが一切消えて、何をしているんだろうか?と我に帰り、また階段を上がっては下りて。

 何度か繰り返すうち、階段の方に顔を向けるだけで恐ろしくなり、心が折れた。

 卒業するのに、いちいち怖い思いする事もないか。

 こうして俺は鏡を確認しないまま卒業し、それ以降1度も小学校の敷地内に足を踏み入れていない。

 しかし気になったので、ある時弟に尋ねてみた。

 「階段の踊り場に鏡あるやろ?」

 「え?何処の?」

 「下足室側の階段。2階と3階の間の踊り場」

 「鏡なんかないで?」

 その小学校は今、廃校になる事が決まっている。

 鏡の確認に行くべきなのだろうか……?

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