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SHORTで、俺。  作者: SIN
小学校 高学年

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卒業式

 卒業式当日。

 登校した俺の胸の所には花の飾りが付けられている。

 教室には中学から別になる生徒の周りに人だかりができていて、早くも何人かが涙を流していた。

 そんな中、俺は1人自分の席に座って落書きだらけの机を眺めていた。

 何度も中傷を書かれた机、教室の隅に移動させられた机。

 1年間ズットそんな仕打ちに耐えた机に対して、なんとも言えない感情がこみ上げてきた。

 こんなボロボロにされて、破棄されてしまうのではないか?苦楽を共にしたこの机が俺を最後にただのゴミにされるのかも知れない。

 いてもたってもいられず、掃除用具の中から雑巾を取り出し、机と椅子をとりあえず時間の許す限り拭いた。

 式が始まる前、教室に担任が現れ、廊下に並ぶようにとの指示が出るまで。

 何の感動も、何の思いもなく始まった卒業式。

 卒業生の言葉までは練習通り過ごす事が出来た。しかし、いよいよ卒業、このクラスとも今日まで。そう思うとダメだった。

 「楽しかった、修学旅行。しゅうがくりょこ~」

 何が楽しかったんだ?

 「一生懸命取り組んだ、運動会。うんどうか~い」

 何を一生懸命取り組んだ?

 本当にダメだった。

 口パクすらしたくなくなって、後半はズット黙ってた。もう頭の中にあるのは、

 ここを卒業したってほとんど変わらないメンバーで中学校に通うだけ。

 という絶望。

 暗い気持ちで卒業式を終えて教室に戻ると、担任による別れの挨拶が始まり、贔屓にされていた生徒が担任に釣られて泣き出した。

 あぁ、そうだ。中学にこの担任はついて来ないじゃないか。

 俺の絶望は、アッサリ終わった。

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