罰ゲーム
「木場君、好きです」
突然、贔屓される側の生徒から告白された。
「そうですか、大変ですね」
と、俺は自由帳に視線を落とす。
告白されて嬉しくなかったのか。
その通り、嬉しくない。
こうして告白を受けたのは初めてだったのだが、これが罰ゲームだと知っていたからだ。
バスケットゴールにシュートして、始めに外した人が罰を与えられると言うゲームが流行っていた。そしてその罰とは、贔屓にされない側の生徒に告白する。と言うかなり失礼な内容になっていたのだ。
連日告白されていた男子は返事も手馴れていて「はいはい俺も好き好き」と、手でシッシッと女子を追い払いながら言っていた。
ついに罰ゲームの標的になってしまったのかと多少落ち込んでいると、告白してきた生徒が中々立ち去らない事に気が付いた。
まだ何か追加攻撃があるのだろうか?
「あのな、中学は木場君と一緒ちゃうねん」
急に喋り始めた生徒を見上げながら、罰ゲームには告白以外にも「多少の会話をする」と言う内容が加わりでもしたのだろうか?と首を傾げた。
「あんな、今まで無視とかしててゴメンな」
生徒はそう手を振って教室から出て行った。
本来なら罰ゲームをちゃんと実行したのかどうかを見る係りの生徒がいるのだが、教室には俺達しかいなくて、廊下にも誰もいなかった。




