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SHORTで、俺。  作者: SIN
小学校 高学年

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198/485

募金活動

 駅前で募金箱を持って立つ。と言う学校行事があった。

 1人1箱持たされ、駅前の広場に並んで立って「募金お願いします」と通行人に声をかけなければならない。

 駅前のデパート前には贔屓にされている生徒が並び、その他は階段の下にある電話ボックス横のあまり目立たない場所。

 「募金お願いしまーす」

 「しまーす」

 声の大きな向こう側の生徒の周囲には、足を止める人も多くいて、小銭ではないお金を箱の中に入れてもらっていた。

 それに引き換え俺達の周りには、足を止める人はいない。

 「めっちゃ貯まってる~」

 箱を振りながら喜んでいる向こう側、1円も入っていない箱を振る俺達。

 「最後まで0円やったらハズイし、全員で10円ずつ入れよか」

 俺達が小声で作戦会議をしている間、向こう側もなにやら小声で作戦会議を始め、1人の女子生徒を何人かの生徒が囲み、女子生徒は箱の中から小銭ではないお金を2枚取り出し、そのままポケットの中に納めてしまった。

 俺達はしっかりとその光景を見ていたが、先生に言った所で何故か俺達が取ったように言われるだけなので、見ていない事にした。

 「募金お願いしまーす」

 「お願いしまーす」

 それでも人は向こう側の生徒に募金をする。

 「1人でもエエから、とりあえず募金してもらお」

 こうして俺達は少し距離を開け、広範囲を攻める事になった。

 「募金……お願いします……」

 恥ずかしいので小声になってしまう俺の後ろでは、

 「募金やってます!よろしくお願いします!」

 と、妙にハキハキと言う男子生徒がいる。また少し離れた所には頭を下げつつ「お願いします」と言う女子生徒。あちら側の生徒にまぎれて並んで立っている奴もいたり。

 徐々に俺達の所にも足を止めてくれる人が出て来て、何人かの箱の中には小銭が貯まった。しかし、俺の箱の中には、まだなにも入っていない。

 このままじゃ終われない!終われないのに、募金活動時間は終わりに近付いていく。

 このままじゃあ、箱を回収した担任に「募金も出来へんの?」と怒られるだけだ。

 仕方ない。

 俺はポケットから10円玉を取り出し、コッソリ箱の中に入れた。

 「自分で入れたん?」

 急に声をかけられて顔を上げると、スーツを着た男性が俺の前に立っていた。

 「箱の中、空やったら怒られると思って……」

 正直に言うと男性は鞄の中から財布を取り出すと、小銭入れに入っていたお金全てを箱の中に投函し始めたのだ。

 嬉しいと言うより、怖い。

 ズッシリとした箱を手に、何か悪い事をしたかのような罪悪感に襲われる。

 とにかくこの重たい箱が怖い。

 「お前どんだけ貯まった?」

 「全然や~。お前は?」

 「もっさ軽いで」

 そんな会話が後ろから聞こえて来るとますます居心地が悪くなり、俺は振り返ると箱の中が軽い、と喋っていた2人に交渉をした。

 「俺の箱と交換して」

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