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SHORTで、俺。  作者: SIN
小学校 高学年

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197/485

運動会(※)

 体育会の最後の種目は組体操だった。

 体の小さな俺はほぼ全てで1番上、練習の時からさんざん嫌味を言われ続けていたので、体育会前日のリハーサルになると「あと少しで終わる」と、感極まってしまった。

 2人組、3人組、4人組。嫌な顔しつつも俺を背中や肩に乗せるクラスメート達。そして最後の大技、ピラミッド。

 ピッ、ピッと笛の音を合図に1段ずつピラミッドが組みあがって行く。

 ピッ、の合図で俺は1番上に向かって登る。

 ピィーと長く吹かれた笛。それを合図に立ち上がって両手を広げる。

 ピッ。

 「え?」

 本来ならその後土台の皆が右を向いて、左を向いて、正面を向いて、次の合図で俺が座って、それから1歩、2歩、3歩前進して崩れる。と言う順番だったのだが、クラスメートは俺が立っている状態のまま歩き出した。

 ピッ。

 誰も注意しないまま2歩目。

 ピッ。

 そして3歩目。こんな揃った動き、事前に決めていたのだろう。

 ピィー。

 本来はここで俺が座る事になっているのだが、

 「行け行け!」

 誰かが声をあげ、1番下の奴らが、

 「いくで、せーの」

 と言い、崩れるピラミッド。

 咄嗟にしゃがみ込んで落下は防ぐ事は出来たものの、体は震えた。落ちそうになった恐怖からでも、怒りからでもない。

 演目を失敗に終わらせてまで俺を落とそうと思い付くクラスメート達の考えが、心底可笑しかったのだ。

 失敗に終わらせた上に、俺も落とせてないでやんの。

 1組全員と2組の他の班が演目通りの合図でピラミッドを崩すまで、俺達はその場に座って待つしかない。

 リハーサルなので周りには全校生徒がいるし、先生達もいる。だから最後のピラミッドが完成すると、

 「わー」

 と言う歓声が俺達以外に上がった。それを座って聞くしかない俺達。

 「フフッ……ハハハ」

 笑わずにはいられない。

 担任が俺達を鬼のように怒鳴り付けたのはリハーサルが終わってから。

 「木場が落ちてたらどうすんの!?」

 とか言いながら、しっかりと俺まで怒る意味不明さにも笑えた。

 こうして向かえた本番。

 また落とそうとしてくるかも知れない。と、心の準備をしていたにもかかわらず、やられたのはボール演目の直前にボールを隠された事位で平和なものだった。

 ボールには学年ごとに色が決まっていて、その時は1年と4年が赤。2年と5年が緑。そして3年と6年は黄。

 俺のボールは何処かへ消えてしまったが、問題はなかった。何故なら黄色で木場のネーム入りボールは学校内にもう1つ存在していたから。

 その時、弟は3年生だったのだから。

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