表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
SHORTで、俺。  作者: SIN
小学校 高学年

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

196/485

毛細血管へのダメージ

 小学生の頃、ご近所さんには犬を飼っている人が多かった。

 犬に対する恐怖心を克服できない俺にとっては、通学路でさえ恐怖だった。何故なら、何件かの犬は放し飼いにされていたからだ。

 追いかけられたら、とりあえず大股で歩いて人の多い場所に向かって紛れる。人がいない時は俯いて、目を閉じて家に帰る。もちろん心の中では

 犬の為にノーリード?ふざけんなよ飼い主!

 とか叫びながら。

 しかし、その日に追いかけてくる犬はいつまでも俺の後ろを着いて来た。

 恐ろしくて振り返れなかったが、アスファルトの上を歩く犬の爪音がスグ後ろに聞こえるのだ。

 大股で歩くと、後ろの足音がトトトッと駆け足で付いてくる。

 あまりにも恐ろしくなり、俺は通りかかったマンションの階段を駆け上がった。そして更に数段上った所で振り返ると、階段の下で尻尾をゆっくりと振っている白い犬。

 コイツは裏にあるアパートの、そのお隣さんが飼っている犬。

 しかし階段までは登ってこないだろう、と安心したのも束の間、ピョンピョンと1段ずつ上がって来るではないか!

 急いで踊り場まで上がるが、階段を登ってくる犬の爪音。

 このままじゃあ1番上まで行った時に追い詰められておしまいだ。

 どうする?どうしよう?

 俺はパニックに陥りながら手すりに登った。後ろ足で立ち上がった犬は、俺の足を噛もうとしているのかジャンプしている。

 怖い、怖い!

 不安定な手すりの上、前には白い犬で、後ろには路地がある。しかし1.5階と言う高さがあった。

 どっちにしたってタダでは済まない。だったら!

 俺は路地に向かって飛び降りた。

 両足でドーンと着地したと同時、ビリビリと電気が走った。そして両足に現れる鈍い痛み。酷くだるくて重い足を引きずり、犬が追って来ない間に家に向かった。

 痛い、重い、だるい。なのに足全体はまだビリビリとしていて感覚が鈍い。

 やっとの思いで家に辿り着きズボンの裾を捲りあげて言葉を失う。

 両足の脛が、紫色に染まっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ