班長と委員長
6年生になると、委員会やクラブ、レクレーション授業、地区委員会で委員長や班長を任される立場となる。
どれかで委員長や班長をしていれば、他の委員長や班長をしなくても良い。
そんなルールがあったのにも関わらず、俺はレクレーション授業と地区委員会の委員長を任かされる事になってしまった。
レクレーション授業とは、1年生から6年生まで2~3人ずつで構成された班で遊ぶ。と言う内容の授業だった。
場所は割り当てられるが、そこで何をして遊ぶのかは6年生が考える事になっていて、その決定権が班長にある。
レクレーション授業が始まると、班長は自分の班の生徒を集める所から始めなければならない。4年生や5年生なら場所を連絡しておくだけで勝手に集まってくれているが、低学年の子は迎えに行かなければ迷子になる。
やっとの事で全員集める事が出来たとしても、ここからがまた大変で、言う事を聞いてくれる子と、聞いてくれない子の差が激しいのだ。
班長の仕事には点呼、と言うものがあるのだが、1年から6年までの生徒を綺麗に並ばせるのは至難の業である。
別に並ばせなくて良いか?
いや、それでは他の班長や先生が納得しないだろう。
だったら!
「今日は帽子取りをしますが、ただの帽子取りじゃなくて、ボスを決めます」
誰もした事の無い遊びの説明をすれば良い。
「え?ボス?」
「ボスの帽子の内側にシールを貼って、そのシール付きの帽子を取られたチームの負け」
と、シールを2枚取り出せば、皆の視線はシールに集まる。
「今からそのチーム分けするから、1年から順番に並んで」
当時の俺は知的だったのだろう、レクレージョン授業がある度にそんなちょっと変わった遊びを思い付いていた。
俺の他に6年生は2人いたが、その2人はそれぞれがクラブの部長だった。俺だって地区委員会の委員長なのだが、多数決により班長にされてしまったのだ。そして、遊びの内容と準備を一任させられた。
地区委員会の委員長の仕事は大きく3つ。
1つ目は地区委員会会議を取り仕切る事。
2つ目は集団下校の時に1番前を歩き、全員を無事に今まで送り届ける事。とは言っても同じ地区、そんなに時間がかかる訳でも大変な事でもない。
3つ目の仕事は、夏休みの地区委員会の遊び会準備。
夏休みの間にある登校日に地区委員会で集まって遊びましょう。とか言う任意参加の遊び会があったのだ。
もちろん俺は5年生まで1度もそれに出席した事は無い。
それなのに、委員長になってしまったら強制参加である。
同じ地区に6年生は俺の他に3人いたが、それぞれがクラブや委員会の部長だったり委員長だったりした。俺だってレクレーション授業の班長だったのに、多数決により委員長にされてしまった。そして、遊び会の内容と準備を一任させられるのだ。




