太陽の絵
その日、俺は図書室で借りてきた本を熱心に読んでいた。
題名は忘れたが宇宙について書かれているもので、水素と水素の原子融合で太陽がうまれたとか、地球の質量は月の81倍あるとか、まさにロマンに満ち溢れた内容になっていた。
そんな本を読んでいる俺の所に1人の女子がやってきた。
その女子が熱心に読んでいたのは心理テストの本だったのだが、本来なら答えた本人に正解を告げる所までを1問とする筈なのに、女子は目に付く生徒に質問を繰り返してはニヤニヤと1人で楽しんでいた。
そしてたまたま目が合ってしまった為に質問をされる事になったようだ。
「自由帳出して」
質問じゃないのか?
不思議に思いながら自由帳を出すと、勝手にページを捲られた。
「色エンピツ出して」
これもなにかの質問になっているのだろうか?
「今から言う物を描いてってな」
どうやら絵を描けば良いようだと理解し、最初に出されたお題「太陽」を描き始める。もちろん、さっきまで熱心に読んでいた本に描かれていた太陽をモデルに。
核があり、放射層があり、対流層があり、しっかりとコロナまで描き込んだ。
そんな絵を俺が描いているとも知らない女子は、続けて木や山を描けと言ってきたのだが、俺はその絵を眺めながら少し考えて答えた。
「燃えてます」




