189/485
言葉遊び
弟は言葉遊びが苦手だった。
「ピザって10回言うて」とか「きいろ、って言うたらアカンで」とか、その程度の言葉遊びなのだが、何回やっても弟が出来なかったものがある。
「俺がなんと言うても、フラボノガム、って答えてや」
「うん」
ここで軽くアウトな訳だが、しょうがないと始める。
「コーラ」「フラボノガム」
「黒い飲み物」「フラボノガム」
「炭酸飲料」「フラボノガム」
「自動販売機で買ってきた」「フラボノガム」
「飲んでみる?」「うん……フラボノガム!」
「冷えてへんから氷を入れよう」「フラボノガム!」
こうして弟の頭の中をフラボノガム一色にしてから、満を持して言う。
「風呂場のゴム」
「ふらばのゴム……うわぁ~」
項垂れる弟を前に、俺はいつも勝ち誇ったように笑うのであった。




