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SHORTで、俺。  作者: SIN
小学校 高学年

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183/485

低温火傷(※)

 通っていた小学校には制服がなくて私服だった。

 それでも通学帽子と名札を付ける事、半ズボンかロング過ぎないスカート着用と決まっていたので、風邪などで体調が悪い時は連絡帳に「今日は長ズボンで登校させます」と保護者が書かなければならなかった。

 俺は5年生の途中から随分と長い間長ズボンで登校していた。

 風邪が長引いていたという訳ではないし、反骨精神の元校則を違反し続けていた訳でもない。

 5年生の、冬の事。

 その日はかなり冷え込んでいたので、母が俺と弟に電気あんかを用意してくれた。

 布団に入って冷えた足をあんかに乗せると、ほんのりと暖かい。布団が暖まるまで寒さに震える事もなく、俺はその夜布団に入って即効で眠りに付く事が出来たのだった。

 何か、変な感じがする。

 何か、騒がしい。

 あれ?何か足が変だ。

 目を開けると、目の前には弟の顔があって、上半身を起こすと姉の姿が見えて、足を見ると母がいた。

 「見るな!」

 母は怒鳴り、姉が俺の上半身を布団に戻す。

 何があったのだろうか?足に何かあるのだろうか?

 結構な時間足を冷やされ、ガーゼで覆われてからようやく布団から出る事を許された俺は、そのまま病院に連れて行かれた。

 あまり痛みがなかったので、自分の足で歩いて行ったと思う。

 診断結果は、言うまでもなく低温火傷。特に手術等は受けなかったので重度と言う訳ではなかったのだと思うが、母が何故俺に見せたがらなかったのかが分かる程度には物凄かった。

 こうして母は連絡帳に書く。

 「怪我の為、当分の間長ズボンで登校させます」

 低温火傷は中々治らなかった。

 膿んでいる患部に薬を塗ってガーゼで覆う。そのガーゼは1日も経てば膿で汚れてしまうので毎日替えていたのだが、ガーゼを剥がす時、1日かけて回復した皮膚も一緒に剥がれてしまうからだ。

 俺は5年生の冬から6年生の夏までの半年間、長ズボンで登校していた。

 風邪が長引いていたという訳ではないし、反骨精神の元校則を違反し続けていた訳でもなく、怪我の為。

 そしてその低温火傷の痕は、今でも右足に残っている。

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